大絶賛する書評サイトが多いもんで読んでみた(その前にクラークの「幼年期の終わり」でドン引きして、古典的なSFはマジ容赦ねえな、と心構えができていて良かった。)最近復刊されて今結構店頭に平積みされている。初出は1956年で古いが、そんなことは全くマイナス要素じゃない。
内容的には、人類がみんなテレポーテーションできるようになった時代に、
宇宙で遭難したオツムがティンしてる男(本当に馬鹿で一本槍なんだ、最初は)が、救助してくれなかった宇宙船とその所有者に復讐を遂げるために、女子の力を借りたりしながら知恵を、富を、力を身につけ帰ってきた…身分を偽って…という話である。
これだけだと、デュマの「巌窟王(モンテ・クリスト伯爵)」のプロットを拝借しているだけの話なんだが、ちりばめらえた意匠は50年前の小説のレベルとは思えないくらい卓越している。というか、今のSFも影響受けすぎてます。
まずもって、人類全員ジョウント(というのがテレポーテーションの名称なのだが)できるから、カーチェイス系の捕り物の描写は不可で、瞬間移動の読み合い的な緊張感で魅せるという斬新さがあったり、
さらには石ノ森章太、郎絶対これ読んだんだよね?と言えるような意匠、
怒りが腸頂点に達すると顔に浮かび上がる紋様→仮面ライダー?
奥歯を噛んで加速装置→サイボーグ009?(さらに敵方の強キャラも同じ技を使うという点も)
はコピーが氾濫するする今であってもオリジナルとして(?)優れた描写に感じる。
ニューロマンサー→甲殻機動隊の流れと同じで、ある文化が受容され、咀嚼さえ、異なるものとして発信されるというのは面白い。そのオリジナルに触れる過去の探求に旅立ちたい。でも古くっさいのは、イヤ、という人は是非是非本書を読み事をお進めします。